中医学による病気への取り組み方

 中国で二千年以上も、自然との調和を考え、臨床経験を積み重ねてきた、中国の伝統医学です。中医学は、植物や鉱物などの生薬、もぐさなどを最大限に活用した、身体にやさしい治療法です。
 人の健康と病気は、宇宙の万物、四季にともなう自然の変化と深い関係があります。また、身体の各臓器は単独で存在することはできず、その他の臓器や組織と協調・統一してはじめて正常に活動できます。こういったことに基づいて、病気の原因、症状、治療方法などを哲学的に解釈した医学が中医学です。
 中医学では決して局所の異常だけを見ずに、常に身体全体の様態から局所の病気を分析治療しています。
 例えば腰痛の方でも、症状によりお血(血の流れが悪い)、あるいは寒や湿、腎虚といった原因が考えられ、それぞれ治療方針が異なります。もしも、手足や腰が冷え、腎の部位の脈が力無く、舌全体が白くボテッとし、白いコケがべたっと貼りついているような方は、腎陽虚が疑われます。こういった方は、早くから髪が白くなり、耳鳴り、難聴、排尿の問題、むくみ、生殖機能の衰え、ひどければ骨粗鬆症、腎炎などを伴うこともあります。中医学的な治療では、腎陽を補いますので、腰痛の治療と同時に、骨や腎など上記のすべての問題を総合的に治します
 中医学による治療では、その人のもっている自然治癒力、すなわち、病気に対抗する力を最大限に高めることができます。ですから、局所だけでなく全身の治療・予防が可能です。現代医学でいう、免疫力の強化に当たり、どんな病気に対しても一定の効果があります。

パンダ看護婦さん

中医学

「中医学」とは数千年の昔より引き継がれた中国の伝統医学のことをいいます。「漢方」とは日本の伝統医学のことで、その源は中国ですが江戸時代より大きく変わり現在に至っております。

中医学と漢方

中医学と漢方は病気に対する認識、診断、治療、薬剤等に相当の違いがあります。1974年の資料によれば、「漢方」で使われる薬の種類は約200種くらいですが、「中医学」のそれは5700種以上にも達しています。

中西医結合

「中西医結合」の目的は、現代医学と中医学の欠点を補い合い、優点を発揮させ、現代の治療水準をより一層高める新しい治療医学を打ち立てることにあります。現代中国ではこの「中西医結合」を保健医療の目標としていますし、本研究会も全職員一丸となって、この目標に向かって努力しております。


中医学の治療方針

ストレスや疲労で身体のバランスが崩れている方
 中医学の基本的概念である、陰陽のバランスを整えるため、五臓六腑それぞれを治療する生薬、ツボを用いた治療。もしも、身体も内臓も冷えきってしまっていれば、肉桂、附子等、温熱作用のある生薬、関元、腎兪穴等の温灸、遠赤照射を用いた治療。(調和陰陽)
「気」いわゆる抵抗力の落ちている方
 人参、黄蓍等、補気作用のある生薬、足三里、気海等、補気作用のあるツボを用い、抵抗力
(正気)をアップさせ、病邪をやっつける。(扶正去邪)
気血の巡りが悪く痛みやこりなどがある方
 気血の巡りをよくする芍薬、川芎、牡丹皮等の生薬、大椎、合谷等のツボを用いた針灸、骨盤矯正などの治療。(疎通経絡)